アマチュア読者の備忘録

本が好きです。兵庫県神戸市で開催されている「なごやか読書会」によく参加しています。https://kobe-nagoyaka.wixsite.com/book

町山智浩 『アメリカのめっちゃスゴい女性たち』

 

アメリカのめっちゃスゴい女性たち

アメリカのめっちゃスゴい女性たち

 

 家庭を持つアメリカの女性の4割は夫よりも収入が多いようである。

アメリカでは女性の高学歴化が進み、現在アメリカの大学院修士課程の6割は女性、博士課程でも5割は女性である。また、日本とは異なり、大学院に進むのは一度社会人を経験した30歳以上の本当に勉強したい人々であり、彼らは身銭を切って学んでいるのである。日本の大学院生とは本気度が違う。

市民マラソンランナーの星、川内勇輝も「陸上競技はお金を払ってやるものだ。」と発言したことがあったが、好きこそものの上手なれである。

本書では、アメリカのカリフォルニア州で生活する著者が苦境に負けずに戦う55人の女性たちを取り上げている。現在のアメリカにおける理想の女性像は権力との闘いとともにある。選挙権を持たず、黒人奴隷制に反対しても男性からは見向きもされない、あるいはこっぴどい仕打ちを食ってきた経緯がある。そのような状況の中で草の根運動のように、勝たずとも負けずの精神で叫び続けたからこそ今がある。

本書で紹介されている女性たちは、極端に原理的にならず、たゆまぬ努力によって卓越した能力を開発して周囲に認めさせていく。出自に関係なく、能力があればマリッサ・メイヤーのように妊娠中の身であってもYahooのCEOに引き抜いてしまうのがアメリカ社会である。また、同性愛者であることや劣悪な環境で育った事をカミングアウトする。自分を受け入れ、後ろめたいことでもオープンマインドで語るのが理想のアメリカ女性像なのかもしれない。

本書だけでなく、著者の作品からはアメリカ社会の現実を垣間見ることができる。貧困者の肥満、中絶に対する過度の嫌悪、カード、銃、アルコール・ドラッグ中毒…彼の国のことで問題になっていることが、なぜ日本では蔓延していないのか、治安の良さに関して世界的に見ても稀有である日本は、どこからどのような恩恵を享受しているのかを考えさせられる。

 

教科書に載ってないUSA語録

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